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嫌いじゃなかったの!?
第11章 10ページ目。
それでも頑張らなきゃいけないものは頑張らなきゃいけない。
凌がいるいない関係なしに書類仕事は早く済ませなければならない重要事項。
私が出さないといけない書類には、明日の朝イチの会議で使う資料も含まれている。
よし、ここは、私の唯一の取り柄と言ってもいい「集中力」で一気に片付けてしまおう。
そして、あと半分で終わるという時に
「ただいまかえりましたーーー」
そんな声が、文字で埋め尽くされていた脳内に響いてきた。
この声は…
「野田さん!お疲れ様です!」
私は食い気味に野田さんに声をかける。
ちょっと意外そうに私の顔を野田さんがまじまじと見たのがわかった。
しかし今はこんなことどうでもいい。
野田さんが帰ってきたということはもちろん…!
そう思い私は野田さんの後ろをちらりと見た
野田さんが随分と疲れ切った顔をしているので、きっと凌も疲れているに違いない。
あまり、そういう顔を見たことがないから、興味本位でちらりと見た。
しかしそこには誰もいなかった。
私の頭にはたくさんのハテナが浮かんだ。
私はそのハテナをそのまま野田さんにぶつけた。
「野田さん、佐伯さんは?」
言ってから気がついた。
後から遅れてくるだけかもしれない、と。
それなのに私は、付き合って序盤カップルか!
すぐ、彼氏の動向が気になっちゃう彼女か!
そんなことを考えていると、野田さんからは予想外の言葉が返ってきた
「佐伯くんはもう直帰したよー」
その言葉に私は声をあげかける
直帰!?
嘘でしょ!?まだ定時になんてなってな…
時計を見ると18時。
直帰してもおかしくないですよねぇ。
私は体から力が抜けたように、力なく自分のデスクに向かう。
なんという展開。
まさかの、直帰…
仕事ができる男は違った。
とっくに書類仕事なんて終わらせていたらしい。
くっ…悔しい…
じゃあ今日は諦めようか…
そう思いかけたが、ある考えを思いつき、私は残りの書類にラストスパートをかけた。