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嫌いじゃなかったの!?
第11章 10ページ目。



〜蓮side〜


今日も電気の付いていない、真っ暗な部屋に帰って来た。


「ただいま」と最後に口にしたのはいつの話だろう。



いや、言ったことすらないかもしれない。


今、たとえ「ただいま」と言ったところで、返事が返ってこないことは知れているからそう言わないのか


昔、あんな母親の元へ帰った時にそんな言葉はいらないと思ったから言わないのか


それはどちらか分からない。


理由はどちらもであって、どちらもでないかもしれない。




しかし、なんにせよ家に帰ってくると安心する。


気を張らなくていいし、横になれるし。



別に仕事が嫌いなわけじゃないけど、めんどくさくないわけではない。


どんなに好きな友達との約束でも、寒かったり、暑かったりすると、準備するのめんどくさいなぁと思ってしまう。


それと一緒だ。




でも、ここ最近、この家に帰ってくるのが辛い。


帰って来ては、考え事をして、胸が苦しくなって、どうしようもなくなる。



考えなければいいのに、いつの間にかそればかり考えてしまう。


そういうのを恋と言うらしい。


うん。知っていた。既知である。


知ってはいたが、体感するのは初めてで、どうしていいか分からない。


好きって、言いたい。


大きな声で言いたい。




しかし、俺の好きと言いたい相手は俺を想っていない。


最近なんて、目すら合わせてくれない。



あの時、何にも変えがたいものをこの家に置いていったくせに。



それがあるから余計しんどい。




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