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嫌いじゃなかったの!?
第11章 10ページ目。
〜杏子side〜
意を決して押したチャイム。
部屋の中でピーンポーンと鳴り響く音。
それに伴って聞こえるゆったりとした足音。
それが近づいてくるにつれ心臓は早く鼓動する。
緊張して、息切れをしているはずなのに、息を止めてしまう。
まだ、言いたい言葉は見つかっていなかった。
ただ、想いを伝えたいだけで、ただそれだけでここまで来てしまった。
私のようなクソ女のことなんて、もう好きじゃないかもしれない。
鬱陶しく思ってるかもしれない。
そんな考えも頭をよぎったけれど、この気持ちだけは伝えたかった。
当然、伝えた後どうなるかなど考えたこともない。
ガチャリと、ドアノブが下に下がる。
ドキンと、胸が高鳴る。
ドアの隙間から、イライラしたような声が聞こえた
「あのなぁ…」
そう言って玄関を開けきった凌はスウェット姿を着ていて、いつもとはまた雰囲気が違う。
風邪を引いた時もスウェットを着ていた気がするけど、またその時とも違う。
「…!?」
凌は驚いた様子だった。
無理もない。
アポなし御宅訪問なんてキレていいレベルだ。
しかも、ここ最近無視でもされるように避けられていた女が訪ねてきたのだ。尚更である。
だから私は、そんな驚いている凌に向かって
「こ、こんばんは…真嶋杏子と申します…」
と、挨拶をした。