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嫌いじゃなかったの!?
第11章 10ページ目。
「え、いや、知ってるけど。」
驚いた顔をしてはいるが冷静にそう言う。
そんな様子に少し怖気付いてしまう。
緊張して、自分がなぜここにいるかわからなくなって、帰りたい衝動に駆られる。
でも、私はこの人に、いわねばらない。
ある一言を。
でも、私はここ最近、この人とほとんどと言っていいほど関わらなかった。
話しかけてきても冷たく対応してしまった。
無理やり気持ちに区切りをつけようとするばかりに。
だから、もう私のことなんて嫌いになったかもしれない。
でも、それだっていい。
次は私の番だ。
この人が私にしてくれたように、
光が見えない中、私に気持ちを伝えて振り向かせようとしてくれたように
私もこの人を振り向かせよう。
再び私を好きになって貰えばいいんだ。
下を向いていた私は、ゆっくりと顔を上げその人の顔を見た。
あいも変わらず整っている。
ちょっと痩せたと感じるが気のせいだろうか。
凌。
「伝えたいことがあってきました」