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嫌いじゃなかったの!?
第11章 10ページ目。
その言葉に凌が息を飲んだのがわかる。
切れ長の目が私の目をじっと見つめる
その目力に少しだけ、足がすくむ。
でも言うんだ。
言いたい。言いたかった。
緊張して胸が痛い。
それでも、勇気を出して、気持ちを…
「私はあなたのことが……好きです…」
私の口からでたその言葉は凌に届いただろうか。
私を見つめる目に変化がない。
と、思ったらわずかに見開かれた。
そして、顔をくしゃくしゃにして泣きそうな顔をした。
め、迷惑だったかな…?
そんなことを思って不安になっていると、突然伸びてきた腕に私の体は抱きとめられた。
玄関の外にいた私はそれによって家の中へと誘われる。
凌の匂いに包まれた。
それが懐かしくて、涙が出そうになった。
「杏子…ッ…」
耳元で、今にも泣き出しそうな声で私を呼ぶ。
「杏子…杏子…ッ」
私の名を何度も呼んだ。
その度に私を強く抱きしめた凌の腕に力が入った。
「く、苦しいです…」
私がそう懇願すると、はっ!と気がついたかのように、ごめんと言って私から離れた
自分から離れて的なことを言ったのに、寂しく感じた。
こりゃ重症だ。