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嫌いじゃなかったの!?
第12章 11
私がわんわん泣いている姿を蓮は笑いながら
「おうおう、泣くなって。おれんちお前の実家の数軒隣だろ?」
と言って、なだめようとする。
そんな私たちを凌と笑いながら見ていた
ようやく私が泣き止んでから、蓮は再び私たちに別れをつげて手荷物検査に向かった
私は凌と飛行機が見えるところまで行く
「ねぇ、蓮とどんな話してたの?」
私がそう尋ねると、
「内緒」
といってはぐらかされてしまった
素敵なスマイルとともに。
それから他愛のない話をしていると、蓮の乗っている飛行機が飛び立つ時間になっていた
飛行機はゆっくりと動き出して滑走路までいくと、先ほどとは比べ物にならないほどのスピードを出して滑走路を走っていく
そして、ゆっくりと離陸。
大空へ旅立っていった
その姿を私達は静かに見つめていた
いろいろ思うところはあって、涙が出そうになったけれど、それでも頭に浮かぶのは、蓮と過ごした数年間の楽しい思い出だった。
どんどん小さくなって行く飛行機を見つめながら物思いにふけっていた。
しかし、いつまでもそうしているわけにはいかないので、私は「早く帰ろう!」と凌に切り出す
でも、凌は不思議そうな顔で立ち止まって
「そういえば、杏子。家どうすんの?」
と、尋ねてきた。
どうすんのと言われても…
「え?8月いっぱいは今のとこに住んで、そこからは新しい家。」
まぁ、まだ決まってないんですけどね…
凌はそれを察したのか
「提案なんだけどさ、」
と口を開いた
「ん?」
私が凌の顔を見上げると
「おれんち住めばいいじゃん」
平然とそういったのであった。