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嫌いじゃなかったの!?
第12章 11



………ん?!


とはいってもだな、佐伯さん。


「えぇ!?いやいや、悪いですし!あんな高級マンション、私の身の丈には合いません!」


私が取り乱してそう言うと


またもや平然と


「一人暮らしには広すぎるし、杏子はもう俺の彼女だし、杏子が自炊してくれたら俺がもう風邪引く事はないし?」


と言い放った


加えて可愛い少年のような笑顔


うぐぅ……



い、一緒に住みたくないわけじゃないけど…



「いっつも一緒だと…緊張しちゃいます…」


私が控えめに言うと、凌は口を押さえて空を仰いでから、人前だと言うのに私を抱きしめた



「り、凌!?」


「杏子可愛すぎ…。いいよ、俺はどんな杏子でも見たい」


どんな杏子でもって…



「寝起きの私とか、不機嫌の私とか、酔っ払った私とかでも…?」


「うん、お風呂上がりの杏子…は見たことあるけど、ほんと、いろんな杏子」


ささやくような優しげな声が私の耳に届く。


ただでさえ抱きしめられてドキドキしているのに、もっとドキドキしてしまう。


このまま、この人に溺れたい…そう思わせるような力があった。


しかし、ここは公衆の場。



「と、とりあえず離れて?」


私は凌の腕から解放されて、改めて凌を見上げる


「答えは出た?」


一緒に住むか住まないかと言う答え。


二択の選択。


でも選ぶ方はもう決まっているのだ。


たくさん考えなきゃいけないことはある。


私はもともと「後先考えずに行動をする」というのが1番嫌いだ。


まずこうして、ああして、最後にはこうして…


そんなことを全部考える、めんどくさいタイプの人間なのだけれど


今は、そんなことせずに、


思いのままに選択してみよう。






「凌と一緒に…住む」





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