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嫌いじゃなかったの!?
第13章 12
何の気なしに凌の集めた本を眺める
意外と本の並びとかを気にしないタイプのようで、大判の本や文庫本などがバラバラに置かれている
漫画はほとんどかなく、週間ボーイズの最近出た漫画たちが辛うじてある程度だった
そんな数々の本の中に1つだけきになるものがあった
それを手に取ってみると背表紙も表表紙も裏表紙も真っ白な文庫本で、まるでその本が違う空間にあるみたいに思えた
私は興味本意でそれを開いて、はじめの文を読み始める
『その少年は愛を知らなかった。
父と呼べる人は知らないところにいるらしい。
母と呼べる人はロクでもないやつだった。
母はその少年を真正面から見て言葉を投げかけたことがあっただろうか。
少年はその光景をどうしても思い出せなかった。
ただ、ヤニ臭い部屋で、母が知らない男と肌を重ね、嬌声を上げていたのは思い出せる。
その少年はいつもある1つのことを考えていた。
この生活から抜け出す方法を_________』
そんな始まりの本だった
私はその本を読み進めて行くうちに頁をめくる手を止めることができなくなって、
その少年の辿り着く場所が知りたくて、
いつの間にかその本に見入っていた