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嫌いじゃなかったの!?
第13章 12



「なんで凌がありがとうって言うの?」


もしかして作者さんは凌の近しい人なのだろうか?


それだったらすごく羨ましいなぁ


なんて思っていると、凌はすごく言いにくそうに


「実はさ…」


「うん?」


沈黙が流れる





「その作者、俺なんだ」



「……」


ん?


「えええ!?」



え!?


え?驚きで、え!?以外の言葉が正直出てこない


これは…


深くまで聞いてもいいのか?


勇気を出して、


「あの、説明できるところまで説明してもらうことはできますでしょうか…?」


というと、


凌はまた恥ずかしそうに笑って


「俺が学生の頃に書いて、自費で一冊ほど本にしたんだ。」



と言って、懐かしげに空を見つめてポツリポツリと話した


凌は学生のころ小説家を夢見たことがあったらしい。


でも、小説家というのはなかなかに難しい仕事で、何人もいる小説家の中で小説で食べていけるのはほんの一握り。


そんなこともあって、いくつか書いてみた小説の中で思い出深いものを製本化したらしい


それを聞いて私は、凌の意外な一面に驚いたけれど、なんら不思議は無いなと思った


凌と話している時、凌の言葉選びはとても丁寧でセンスがいい


取り乱したりすると少し荒々しくなるけれど。

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