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セカンドラブ
第5章 ラ
そういう山本主任は部下に仕事の話をしているように
淡々と進める。

これはどう聞いても、奥さんに話す口調じゃない。

「部下の池田」にする話口調だ。

「主任は・・・こうなっても私を愛していますか?」

その質問に、目をつぶって

「愛してるよ。記憶をなくす前も愛してたよ。今でも愛してるよ」

苦しそうにそう吐き出した。

「しおりの記憶が戻らなくても愛してるよ。
5年分の記憶がないなら、もう一度初めから恋愛をしようと思った。
俺はずっとずっと愛してるよ。
もう一度結婚式をしても良い。
もう一度しおりの記憶に残るように全てをやり直しても良い。
・・・・それだけ好きなんだ」

「じゃぁ、なんで」

「でも、さっきのしおりの一言で目が覚めた」
「目が・・・覚めた?」

「そう。しおりにとってこの結婚生活は幸せじゃなかったんじゃないか?
って思ったんだ」
「え?」

「池田は同期の誰にも負けないほど仕事をしていた。
生き生きしていたよ」
「・・・・」
「そんな池田を家庭に閉じ込めて、幸せなはずがないよな、と気が付いた」
「・・・・」

「運命が戻れと命じているのかもしれない」
「え・・・」

「今なら戻れるよ。少し回り道をしたと思えば良い」
「・・・・」

「そして・・・今度は仕事をしている池田が、
一緒に仕事をしながら家庭を築きたい人と一緒になればいい」

「主任?」

「しおり。記憶が戻らないままだったら
俺たち―――別れよう」

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