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エリュシオンでささやいて
第4章 Bittersweet Voice
 

「あたしに全財産かけるというから、驚いてしまって」

「いいんだよ。他の奴にお前を渡すくらいなら、金なんて惜しくねぇ」

 どうしてしまったのかと思うのは、あたし自身だ。
 どうして早瀬の言葉に甘さを感じて、ドキドキしているの。

 柚っ、しっかりしろ!

「は、はは。女帝が聞いたら、泣いて喜びますね」

「なんでそこに三芳が出るんだよ。言っておくけど、三芳だろうが他の女だろうが、お前以外にはそんなことしねぇからな」

 空気が――、

「お前だけだから。俺がそう思うのは」

 甘ったるくて。

 どこまでもベリームスクの濃度を上げていく。

 まるで、あたしを特別だと言っているように思えて、胸がきゅぅぅぅと絞られるような心地がした直後、即座にありえないとあたしは頭を横に振る。

 あたしが恋愛感情的に特別だとするのなら、その理由がわからない。悲しいかな、また魂胆があるのではないかと思ってしまう。

――俺の言葉で、絶対に傷つけたくなかった……この世で一番大切な女を傷つけてしまったから。傷つけなければならなかったから。

 ……大切だと言われても、恋愛の意味とは限らない。九年前のことを後悔しているのだとすれば、もしかして哀れんでいるとか? 

 〝この俺が特別にしてやると言っているのだから、それで手を打て〟とか?

 頭の中に嫌なことが加速しながらぐるぐる回る。

「……おいこら、なにか言えよ」

 焦れたような早瀬の声が聞こえる。

 なにを言えるというの。

 〝まあ、嬉しいわ! ありがとう〟

 〝けっ、鏡を見てから出直して来な!〟

 ……あたしは答えがわからない。
 
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