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エリュシオンでささやいて
第5章 Haunting Voice
記憶が戻る。
いろいろ戻る。
色々ととんでもないことも蘇る。
さあああと血の気が引いた。
「なぁ。嫌わないでと言ったの、キスしてと言ったの、覚えてる?」
「いや、そんなことよりあたしの失態の方が重要……」
「あ゛? そんなことより!?」
「い、いえ、それも重要ですぅ!」
「覚えているようだな、その様子じゃ」
「覚えてないし……っ」
覚えてますとも、しっかり。
早瀬への想いを自覚したことも、思い出してしまったわよ。
「へぇ、だったら思い出させてやらねぇとな」
光を浴びた早瀬の顔が、爽やかを通り越して妖艶になる。
「い、要らない、要らないから……っ」
もう思い出しているから、そういうの要りませんから!
「却下」
本能的に早瀬を押しのけようとした手は、早瀬に指を絡められて握られた。
軋むスプリングの音と衣擦れの音。
視界が暗くなったと思ったら、斜め上から口を塞がれて。
ベリームスクの匂いが濃厚になる。
「ぅ、ん……っ」
ああ、早瀬のキスだ――。
そう……理性よりもまず歓喜に浸るあたしの心臓は、どくどくと騒いでうるさくて。
もぐもぐと唇を食むようなキスから、舌がねっとりとあたしの口腔内に忍ぶだけで、腰のあたりがぞくぞくする。
揺れる腰は、絡んだままの早瀬の足で抑えられ、逆に早瀬のペースで秘部の表面に押しつけられるものは、布地を隔てても膨らんだもので。
なんで早瀬は下着をつけているのに、あたしはつけていないのと思いながらも、布一枚の刺激がもどかしく思えるほどには、キスであたしの身体は蕩けていた。
キスの余韻をダイレクトに受けて疼く秘部をあたしからも押しつけてしまうと、早瀬も摩擦するように腰を動かして。
「は……ぅんっ、んんっ」
腰だけが別の生き物のように動く。