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エリュシオンでささやいて
第5章 Haunting Voice
散々にキスをされて、セックスした時よりくたりとしながら、ふと気になったのは現時間。
「今何時……」
「ああ、九時過ぎ。そろそろ朝食とるか。このままだとエンドレスになりそうだ」
「はあああ!? 朝食がどうのという問題じゃないわ! 会社、遅刻じゃない!!」
突き飛ばして起きようとしたが、早瀬に腕を引かれて、早瀬の腕の中に戻ってしまう。
「今日は午後から。午前中、人選に回ってから会社に行くとクソデブに言ってある」
「え、本当に!?」
「俺を誰だと思ってる。ちゃんと外堀埋めてやるから安心してな」
柔かな唇が、あたしの顔中に押し当てられる。
「別に埋めなくても……」
「埋めなきゃ、こうやって俺の腕に入ってこねぇだろ? あぁ、マジにエンドレスになりそう」
なんで早瀬はこんなに甘々なんだろう。
キスって、そういうものなんだろうか。
……早瀬に抱きつきたいと思うくらいは、あたしにも変化はあるけれど。
「柚……なぁ、やっぱ一回でいいから、抱かせて」
光を浴びて凄絶な色香を放ちながらの誘惑に、あたしは身震いした。
「駄目です。有言実行するのがあなたでしょう? ほら、起きる! 仕事しましょう」
「なんで仕事モードなんだよ……」
「今日は平日です!」
このままだと、あたしの意志関係なく早瀬に溺れてしまいそうなそんな気がして、あたしは慌てて起き、はだけてしまった姿を早瀬に見られて悲鳴を上げ、
「ちょ、なにこの痣っ!!」
お風呂に入って(勿論、早瀬を追い出して)、あたしの身体についている沢山の赤い痕を見て、さらに悲鳴を上げた。
胸の膨らみの上、脇のところ、股のところにも点々と咲いている赤い花に、くらりとした。
「はは、そんな程度で。一睡も出来ねぇほど抱きたいのを、それくらいで我慢した、俺の理性を褒めて貰いたいものだ」
そんな笑いを知らずして。