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エリュシオンでささやいて
第5章 Haunting Voice
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東京都港区青山――。
表参道・原宿にほど近い青山は、大人の女性が好む、洗練されたお店が多い……清楚な街である。
近年表参道と青山の中間に、お洒落なカフェやブティックが入った表参道ヒルズが出来て注目を浴びているが、個人的に大人女性に支持される代官山より、表参道の方が落ち着いた雰囲気で好きだったりする。
タクシーに乗車中、渋滞に巻き込まれたため、そこで下ろして貰い、地下鉄で青山に向かう。
オリンピアは、青山通りという大きな道路沿いにある、立地のいいビルに入って居るが、ロケーションはともかく、OSHIMIZUビルの豪華さには敵わない。
そんな強みしかないけれど、乗り込んできたからには、ただで帰るものか。
深呼吸し、息を止めて二秒。
そして頬をパンと叩く。
柚、怯むな。
エリュシオンの音楽を取り戻せ!
威勢良く、気分は道場破り。
「たのも~!!」だ。
だが、顔を上げた先――ピカピカに磨かれたドアの真ん中、曇りガラスとなっている部分に貼られていたのは、一枚の紙。
〝誠に勝手ながら、本日、お休み致します〟
「はああああ!?」
HADESを公開した日が、お休みなんてありえないでしょ!
中には灯がついているし、居留守使っているに間違いない!!