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エリュシオンでささやいて
第5章 Haunting Voice
 
 長谷耀とは、コンピューターを使った音楽を得意とする、現代音楽で有名なあたし達よりひとつ年上の男性だ。

「耳には残るけど、機械的。怪しい宗教にはうってつけだ。大体お告げがわかるのなら、自分で作れってんだよ。この教団、曲も作れねぇのに音を語るか。よくそんなのを引き受けたものだ」

 そう言って、テレビを切った。

「嫌いなんですか、長谷耀」

「一度、ふたりで映画のイメージサントラの作曲をしたことがある。なにからなにまで俺と合わねぇ。あそこまで合わねぇ音楽家はいねぇな」

 確か、長谷耀の音楽は緻密に計算されているとか聞いたことがある。それに比べて早瀬の音楽は天性の閃き型。衝突はあるだろう。

「それなのに、仲良しのように取材の時に言われて、ふたりでその編集者に噛みついたら、〝息があったコンビ〟とか雑誌に書かれた。それ以来、ふたりの仕事もくるもんだから、共演NG出せば向こうも出してやがるし」

 不機嫌そうだったため、話を変えた。

「そうだ、会議どうなりましたか?」

「ああ……。俺は潰そうとしてるんだが、上に保留にされた。どうしてもエリュシオンのHADESを売り出したいと。また明日も会議だな」

「そうですか。外部委託の広報も大変ですね。どうするんだろう」

「ただHADESプロジェクトは、少しずつ詳細を公開するという形の広報をしていたから、公表していたメンバーは俺の名前くらいしかなかった。後はボーカルさえ決まれば、広報も進んでいく予定だったんだ。まだ期限内とはいえ、お前がボーカルを見つけられないでいたから、不幸中の幸いだ」

「じゃあエリュシオンがなにかしようとしていることは大々的な広告がなされても、詳細は謎のまま、中身をごそっとオリンピアに横取りされて公表された格好ということですか?」

「そうだ。いまのところオリンピアは、楽曲提供・プロジェクト企画……つまり俺に関するところはシークレットとして公表し、俺がリストから選んで部長クラスに渡したという演奏者と、ボーカルのみ公開している。俺の名前を出さなかったのは、俺個人を敵にしたくなかったのか、どうしても引く抜くつもりだったのか、別の目的かは不明だ」
 
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