この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第5章 Haunting Voice
 


「舌火傷したの。俺、ややネコ舌で」

「だったら飲み物……」

「いらね」

 ネコ舌……ネコのようにうあたしの頬を、舌でぺろぺろする早瀬に、うごけないあたしはぎゃあぎゃあ騒いでいると、

「お前の方がネコみたい」

 そう、笑った。
 
「美味いなあ、おまえの作ったの」

 そう言いながら、つるつると麺を啜る早瀬は、あたしを見上げるようにしながら微笑む。

 ……あたし、いつもひとりで作って食べてきた。
 美味しいとかいってくれるひとがいなかったから、正直嬉しくて。

「お、お口にあってよかった」

 照れてしまい、目を泳がせる。

「毎日、食いてぇな」

「きょ、今日限りです」

「嫌だ」

「あなたは美味しいレストランとか知ってるんだから、そっち行って下さい」

「そっちもお前と行くけど、たまにはお前の作ったもの食いたい。お前んちまた来るから、色々作って」

「な、なんであなたに作らないと……」

「言葉遣いが戻る罰」
 
 そう言い放って、また麺をつるつると食べていく。

「あちぃ」

 と思ったら、今度はあたしの耳に舌を這わせて。

「へ、へんな動きしないでっ!!」

「してねぇって。昨日から我慢してるだろ、俺」

 絶対我慢してないよね。

「だから今日も、お前の料理で我慢する」

 今度はネコ舌関係なく、ちゅっとコメカミにキスが来た。

「……月曜、俺も行く」

 何でもないというように、そう言ってまたつるつると麺を食べる。

「はあああ!?」

「……朝霞のガセに乗る方も乗る方だけど、ただ俺を振り回して楽しんでいるわけではねぇ気がするんだ。あいつのあの目は、揶揄ではなくなにか真剣なものがあったから。それがやけに気になる」

「どういうこと?」

「もしかして……俺を使ってなにかをしようとしているのかもしれねぇ」

「なにかとは?」

「例えば、……俺で守ろうとしているのかも。お前なのか、お前と朝霞が働いていた頃のエリュシオンなのか、別物か」

「え……」

「俺が来た時さ、ここの家の前に黒いボックスカーが停まってたんだ。それが俺がベランダから見下ろした時、いなくなった。それも気になってな。はい、冷まして」

 レンゲですくったお汁をあたしに向けるから、反射的にふぅふぅ息をかけて冷ますと、早瀬は飲んだ。
 
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ