この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第2章 Lost Voice
 
「上原チーフ自身の責任と自信で、素晴らしい人材を発掘して貰う。ということで、上原チーフを連れて、これから午後、日比谷公園に連れ出すことに、ご許可を」

「へ、へぃ」

 茂、しゃっくりか?

「それと、私が連れ出す時は無条件で許可願いたい。なにせ、HADESプロジェクトの命運がかかっていますので。否というのなら、あなたにその責任を取って頂くことになる」

 茂、焦りの蒸気で薄い毛が立ち上がる、立ち上がる。
 このまま毛根から元気に立ち上がればいいね。

「許可下さいますか?」

「ひ、ひぃぃ……っ」

「ん?」

 魅惑的な笑顔にある、凄絶な威圧感。

 茂、ぶんぶんと頭を縦に振る人形と化す。

「では、そういうことで」

 早瀬の言葉に、ふぅふぅ息をする課長から、ほっと安堵の空気が漏れた。
 これで課長、早瀬の前でハ行をすべて口にしたことになる。

「HADESプロジェクト成功のために、育成課の方々もご協力下さい。上原さんも責任と自信を持って、一緒に頑張ろう」

 ああ、馬鹿なあたしはようやくここで気づく。
 早瀬の立ち回りの帰結にあるもの。

 それは――。

「では今日彼女は直帰させて頂きます。残業は他の方に」 

――今夜、八時。いつものホテルで。

「HADESプロジェクト成功のために、皆さんも協力下さい」

 羨望と嫉妬の視線を浴びながら、あたしは思った。

 奴のせいで、残業という逃げ場がなくなった、と。

 早瀬は有言実行の男――。
 そこまで、ヤリたいか!
 
 あたしが逃げられないように外堀を埋めて固めただけではなく、壁を高く築いて、あたしを囲んだんだ。


「では、上原チーフ。早い時間だが帰り支度をして、すぐに出かけよう」


 にやりと、意味ありげに笑うその顔は、憎々しいほどに王者の貫禄に満ち満ちていた。


/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ