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エリュシオンでささやいて
第6章 Invisible Voice
「ちょ、人が」
「うるせぇ」
「離してってば」
「お前が理由を言ったら」
「……っ」
「なんだよ、あの怒り狂ったクソうさぎ。女の敵ってなんだよ」
「……そのまんまんの意味です。女ったらしのスケコマシという意味で」
言った、言ったよ、言っちゃった!!
頭の中に変形五段活用(?)がリフレイン。
「は!?」
驚きのあまり、緩められた腕。
そこから思いきり、侮蔑の眼差しをくれてやる。
「もう、こういうことしないで下さい。キスもやめて下さい」
「ちょ……っ」
「どうか、本命を大切に」
「待て! なんでそうなる!」
そのまま逃げようとしたが、また捕まり、ううと唸ってしまう。
「本命ってなんだよ。なんでお前がそんなこと言うんだよ」
「はあああ!? 自分で言ってあたしを牽制したくせに、とぼける気ですか!」
「牽制ってなんだよ!?」
その時だ。自動ドアが開く音がしたのは。
この隙に逃げようとしていたあたしは、早瀬に手で口を塞がれ、腕を強く取られて、引き摺られながら一番奥にと移動させられた。
……否応なく。