この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第6章 Invisible Voice
  

 ふと、視界に早瀬が目に入った。

 早瀬はなにか苦しそうな顔をしながら、片手で持っている缶ビールを大きく呷って空にすると、テーブルに手を伸ばし、もう一本の缶ビールのプルタブを開けている。
 
「おい、ペース速いぞ、お前」

「いいんだよ」

「〝柚〟は、いるだろ?」

 小林さんの一声に、早瀬はため息をつくと、空けたばかりの缶をテーブルに置いた。

「あたしが、なんですか?」

「がはははは、こっちの話だ。こいつに喝入れる呪文のようなものだから、気にしないでくれ」

「はぁ……」

「嬢ちゃんが上原家の娘だから狙われている、と断定するのもちょっと厳しいな。嬢ちゃんが娘だと公にされていない上に、離れて暮らしているのに、わざわざ嬢ちゃんを人質にとってどうこうするのに、効果がそこまであるのか、というところが正直な疑問だ」

 確かに。

 父さんや母さんにダメージを与えたいのなら、雅兄や碧姉を拉致した方がよほど効果的だ。こんな絶縁状態の娘を誘拐するより。

「嬢ちゃんが上原一家の娘だと知っているのは多いのか?」

「はい。地元も皆知ってますし、家を出てからは従兄とそのお母さんが」

「そこから漏れたのかなあ」

 裕貴くんが伸びをした。

「しかしなんで朝霞が、須王のプロジェクトを横取りしないといけなかったのかも、謎だよな。音楽業界では盗作はかなりナーバスな問題だろうし、大体須王に喧嘩売ってただですまんだろうに」

 小林さんの言葉に、皆が頷いた。

「須王を朝霞の会社に引き込もうとするにしても、方法が、なあ。そこそこ経験値をつけた会社の社長であるのなら、リスクが高すぎる」

 小林さんの言うとおりだ。

 仮に朝霞さんがあたしを狙う勢力となにか関係があっても、早瀬にも、早瀬のプロジェクトにも、関係ないはずだ。

「そういえば奈緒さん。HADESプロジェクトにお父さまが違約金を訴えた話、どうなったんですか?」
 
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ