この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第6章 Invisible Voice
  

「私はね、白黒はっきりつけたい性格なの、わかっていると思うけれど。曖昧にされればされるほど、いずれは黒から白に変わることを期待して頑張りたいタチよ。だからあんたの、フラれるかもしれないけど、自分の気持ちに決着をつけたいという気持ちもわかる」

「……ありがとう」

「でもね。言いたいということが、九年前だけに特定しているのが気になる」

「え?」

「今も早瀬さんを好きなのに、どうして今の気持ちは伝えないの?」

 まっすぐの目が向けられる。

「今、あんたは彼から愛されたいとは思わないの?」

 あたしは、テーブルの上にある手をきゅっと握った。

「柚。私の滑稽な姿を見ていたでしょう? 昔私はフラれていたの。それなのに、早瀬さんの気持ちが変わるようにと思って、彼に必死にアピールしていたつもりよ。仕事だって……今こそやりがい感じているけれど、仕事をやるようになったのは、早瀬さんに褒められたいという完全な私情。どんな理由があったにせよ、私は自分のしてきたことに後悔はしてないわ。私は全力でぶつかって砕けたの」

「……っ」

「九年前のこと、仮に早瀬さんから好きだったと言われたら、あんたどうするの? それで九年前のことはこれで終わったから、私達両想いだったのね……はい終わりとなれるわけ? 逆もそうよ。仮に嫌いだったと言われて、だから今でも嫌われているけど、私だけ早瀬さんを好きでいたいわ……なんて性処理の日陰の女で、自己満足の自己完結する気なの?」

「あたしは……」

 あたしは、どうしたい?

「九年前の決別は大事ね。それは私もそう思う。だけど、恋って……九年前と九年後で姿を変えるわけじゃなく、九年間続いているものだと、私は思うけれど。柚が早瀬さんの気持ちに気づいたのは最近かもしれないけれど、柚は九年も早瀬さんが好きだったんだと、私は思うけれど」

 あたしは、言葉を返せなかった。

 憎々しく思うほどには早瀬を忘れることが出来なかった七年間。
 そして二年前、嫌悪感がわくほどには……早瀬はあたしの特別だった。
 
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ