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エリュシオンでささやいて
第2章 Lost Voice
濡れたスカートはたくし上げられ、パンストと共に引き下ろされた下着が、拘束具のようにあたしの膝を制し、内股が震える。
突き出す格好の尻から花弁の中心へと滑り落ちた、節くれ立った早瀬の長い指は、ぬかるんだ花園を蹂躙して、蜜口から奥に忍びこむと、ゆっくりと狭い道を解していく。
「――っ、――っ!」
片手で必死で口を抑え、伸ばした反対の手の爪で、壁の白タイルをひっかきながら、あたしは快感に悶える身体を跳ねさせた。
ピアノだけではなく様々な楽器を奏でて、多くのヒット曲を生み出したこの長い指は、あたしも知らないあたしの深層を知っている。
彼の指ひとつで、あたしの体は淫らに反応するようにされてしまった。
どんなに反応したくないと思っていても、彼の指ひとつで身体が反応してしまうんだ。
「アキともこんなこと、してるの? ――柚」
耳元で囁かれるその声は、情欲によってハスキーなものに変わる。
その声が破壊的に色っぽくて、囁かれただけで達してしまいそうになる。
「言えよ。アキはどんな風にお前を愛した?」
九年前のあの時のように、名前を呼ばないで欲しいと思えども、それを訴えるその口から手を外せば、きっとあたしは快楽の声を響かせてしまう。
あたしは身震いしながらその甘い責めに耐えるしかなかった。
「なぁ……。アキにも、こうやって濡らしてるの?」
蜜壷の内側をひっかくような動きは、容易く……身体を走る快楽の波を強大にさせて。
「――っ!!!」
股から垂れているのがシャワーの湯なのか、快楽の蜜なのかわからぬまま、あたしは手の甲を噛むようにして、何度目かの絶頂を迎えた。
「お前に触れているのは、アキじゃねぇ。俺を……感じろよ」
上擦ったその声音が熱い息と共に吹き込まれ、腰の熱が脊髄を通って頭のてっぺんから突き抜ける。
「感じすぎ。なに、俺の声でイッたの?」
「~~っ」
男を嫌悪する体が、普通の状態になるまでかなりの時間を要したというのに、早瀬の体はいともたやすくあたしの体を拓かせる。
固く強張っていたあたしの体は、簡単に熱く蕩けていくんだ。