この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第6章 Invisible Voice
 
 
 まるであたしが思い出した、九年前の記憶から続いているようで。

 だけど――たまたまだ、きっと。

 勘違いするな、柚。

 ……そう思うのに。 

「いつから?」

 確かめて仕方がないと思うのに、愚かなあたしは、自分にとって都合のいい答えを求め、

「……さあね。さ、ついたみたいだぞ」

 答えをはぐらかされたことに、落胆する。

 あたしは、「九年前から」という早瀬の言葉を期待している。

 ……ありえないのに。
 言われたとしても、冗談かもしれないのに。
 早瀬は忘れた会話で、ただの気まぐれかも知れないのに。

 それなのに――。

 ぶっつりと切れてしまった絆は、あの時から少しでも繋がっていて欲しいと思ってしまっている。

 早瀬に恋をしていると自覚してしまったあたしは、早瀬にヤリ捨てられたという記憶を、別のものに上書きしたいから。

 ……そんなことをしても、九年間は戻ってこないのに。
 なにひとつ、過去が変わることはないのに。

「ほら、行くぞ?」

 こうやって、優しく微笑みかけられるだけで。
 こうやって、手を繋がれるだけで。

 あたしはどうして満足していられないのだろう。

 どうして、傷つけられた〝言葉〟からまた、新しい関係を築きたいのか。
 どうして、九年前のことを忘れられないのか。
 
 どうして、あたしはまた、こうやって迷い続けるのだろう――。

 
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ