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エリュシオンでささやいて
第7章 Overture Voice
「上原サン、縁起でもないことはいうんじゃないの! ほら、言わんこっちゃない……」
棗くんの意味することに、あたしも気づく。
真横のつけられた黒いボックスカーの窓が開き、黒服の男の構える黒い銃が、あたしに向いているということに。
「ひっ!」
あたし、殺されるの!?
あたしの脳裏には、昨日の喫茶店で窓が割れて破片が散った……その時のことがスローモーションに流れていた。
あたしも、窓ガラスと一緒に、木っ端微塵に吹き飛ぶのだろうか。
あたし、やり残したことがたくさんあるのに。
「上原、伏せろ!」
早瀬の荒げられた声が、あたしの意識を切り裂いた。
「え?」
「早く、その場に伏せるんだ!」
早瀬の声と共に、後部座席の両側の窓が自動的に開き、あたしは仰向けにシートの上で開きとなる。
バアアアアン!!
この音は銃音!?
あたしの上をぎりぎりに通過するなにかが、あたしの喉元の表皮を裂きながら、反対側の開いた窓から出て行ったようで、ひやりとする。
「上原!!」
「い、生きてま……」
最後まで言わないうちに、横からガツンと車をぶつけられ、あたしはドアに頭をぶつけ……。
バアアアアン!!
「上原!?」
「だ、大丈夫……かろうじて」
そのまま足元に転げ落ちてしまったため、第二弾もクリア。
神様、ありがとう。
本当にありがとう!!
「くそっ!!」
「須王、道具は?」
「チーターだ」
「ベレッタM84?」
「ああ。ただ改良してあり、紋章が彫られてある。お前のイーグルは?」
「今はないわ」
なんの話かはわからないが、物騒なものだろうことはわかる。なんでそんな物騒な話を、あたしの同級生がしているのかわからないけれど。