この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第7章 Overture Voice
 

 その時、ドンと天井に物音がした。

「上に乗られたわ。須王、いける?」

「ああ。お前は車を頼む」

「OK。……傷だらけになっても致し方ない。請求は須王にするから」

「仕方ねぇな」

 なにをしようとしているのだろうかと、こっそり見ると、早瀬が走行中なのに車のドアを開き、天板に片手を乗せるようにして、外に出ようとしていたのだった。

「早瀬っ、なにを!!」

「大丈夫。安心してろ」

 早瀬は笑うと、そのまま腕の力を利用し、逆上がりをするようにして天板に乗ったようで。

「ちょっ!!」

 その際足でドアを押しつけたのか、ドアが閉まる音が無情に思えた。

「上原サン、そのままそこで潜ってなさいよっ!!」

 赤いBMWが黒いボックスカーに体当たりすれば、向こうからもぶつけられて。

 横から聞こえる、ガツン、ガツンという衝撃音と共に、上からも天井が凹むんじゃないだろうかと思えるほどの、ドスンドスンとした……戦闘の音が聞こえて。

「上原サン、須王は負けないから。安心し――て!!」

 最後の〝て〟で、車体が激しく揺れた。

 ガツン!!

 ドスン!!

 バアアアアン!!
 
 あたりに響く剣呑な音に、生きた心地がしない。

「この……しつこいわね!!」

 車が激しく揺れる。

「棗くん、そんなに揺らしたら早瀬が……っ」

「あいつはこんな程度で、落ちるようなヘマしないから!」

 こんな程度って、かなり凄いけれど!!

 バキッ!!

 車の上から、人間が吹き飛んだ。

 慌てて窓を見ると黒服の男で、後続車の急ブレーキの音が聞こえた。 

 早瀬は、隣の黒いボックスカーの上に飛び乗ったようで、早瀬に向けて銃口が向けられる。

「危ないっ!!」

 しかし特別に焦る様子もなく、顔を背けるようにしてかわしていく早瀬は、天板に両手を置いて窓の外にぶら下がるようにすると、反動をつけた長い足で銃を持った男を蹴り上げ、中に入ったようだ。
 
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ