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エリュシオンでささやいて
第7章 Overture Voice
「失敗しないように作戦変更したんじゃ……」
「作戦変更にしては効率が悪すぎる」
すると棗くんが笑った。
「プロは、速攻目的を果たせる訓練をしている奴らということ。二度も失敗しているあたりで既に、プロじゃないわね」
「それは、あなた達が強かったのでは?」
「それもあるけれど」
……そこは否定しないらしい。
「俺達が強いからと言っても、あれはねぇな」
早瀬もそうなんだ。
「でもプロじゃないと断言出来るものなの?」
早瀬は言った。
……上から目線で。
「ああ、出来る」
「根拠は?」
「ただの勘だ」
ドドーンと効果音がついていそうなドヤ顔で。
「そ、そうですか……」
そう答えることしか出来なくなったあたしに、棗くんは笑い出して、ハンドルをバンバン叩く。
「そうそう、勘よ勘。あははははは」
……なにがそんなにおかしいのだろう、棗くん。
「でも、プロじゃないのならあの黒服は何者なんですかね?」
「ド素人でもなさそうだ。ただチーターを持っているということは」
「チーター、飼ってたんですか?」
車内にいたのだろうか。
「……動物じゃねぇよ。銃だ、銃!」
またもや棗くんは大笑い。
笑い上戸の小林さんといい勝負だ。