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エリュシオンでささやいて
第7章 Overture Voice
 
 
「あれ、上原サン、須王の家に行ったことないの?」

「うん。棗くんは行ってるんだ?」

 出来るだけ笑顔で、なんともないという態度で。

 ……見られちゃいけないものとかがあるとか?
 男ならよくて、女には駄目のヤバイものがあるとか?

 あたしの心の中は大騒ぎ。

「うん、結構行ってるよ。同棲してた時もあるしね」

「同棲……」

――須王、私綺麗?

――ああ、綺麗だ。来いよ、抱いてやるから。

 ブルブルブル!!

 いけない想像に全身鳥肌が。

「……棗。ただの一方的に押しかけてきた居候だろうが、紛らわしいいい方するな。柚、お前……、いかがわしいこと想像してねぇよな?」

 早瀬がじろりとあたしを睨む。

「え? いかがわしいって……棗くんの服の中身が女でも男でも、あなたは気にしないで裸のお付き合いが出来るんだな、とか?」

「想像すんなよ、俺はホモじゃねぇぞ」

「あ、じゃあ棗くんは服の中身は男なんだ? あれ、ボンキュッボンは?」

「なに、気になる? だったら一緒にお風呂「必要ねぇよ。こいつはお前なんて興味ねぇから! むしろこいつと風呂は俺が入るから」」

「なに言ってるのよ、あなたとも入らないわよ!」

 あたしは人差し指をびしぃぃっと突きつけて叫ぶ。

 この男、あたしを羞恥プレイに持ち込む気なのか?
 なにが嬉しくて、同級生にそんなことを……。

 ……しかし、返るのは爆弾発言。

「いつも入ってるだろうが」

「ふぅん? 経験済みなのかぁ」

 棗くんの目が、にやにやにや……。

「は、ははは入ってません! そんな破廉恥なこと……妄想よ、このひとの妄想だからね、棗くん!」

「破廉恥って、いつの時代だよ……」

「ぷく……。須王、上原サンの尻に敷かれてるんだ」

「「敷かれてない!!」」

 なぜか早瀬と同時にハモってしまえば、仲がいいねぇと棗くんは笑う。
 
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