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エリュシオンでささやいて
第7章 Overture Voice
 

「根詰めるからだよ。……ってあたしが、無理させているね。ごめんね、なにか手伝えることがあるなら……」

 そう言うと、早瀬があたしの頭上にすり……と頬を寄せた。

「俺の傍にいて」

「……っ」

「須王って呼んで」

 早瀬は、譫言のように言う。

「俺を嫌わないで」

 ……どう答えればいいだろう。

「多すぎ……」

 ああ、あたしってば可愛くない。

「じゃあどれか選んで」

 まだ眠いのだろうか。
 早瀬の声が、微睡んだもののように思える。

「……うん」

「……本気で、だぞ」

「わかったって」

「どれだよ」

「……金曜日ね」

「焦らしプレイ?」

「うん。焦れててね」

 思わずくすりと笑ってしまうと、早瀬があたしの髪を両手でわしゃわしゃにした。

「ちょっと!」

「くっそ……」
 
「金曜日、あたしの質問に答えてくれる?」

「……質問内容によって」

「じゃあ行かない。棗くんと女帝にお金借りて、借金返して……」

「駄目だって」

 ぎゅうぎゅうに抱きしめられて。

 いつもは嫌だった早瀬の束縛がなにか微笑ましく思えるのは、棗くんに色々聞いたからなのか。

 それともあたしの心が、早瀬に向かっているからなのか。

「金曜日、言いたいことがあるの。聞いてくれる?」

 真剣ゆえに震えた声を聞いて、早瀬がごくりと唾を飲み込んだ。

「ああ。……俺も。ちゃんと聞いて欲しい」

 ……今はこれだけでいい。

 伝えたい言葉がある。
 知りたい言葉がある。
 
 そこから生まれるものに生産性がなくても、あたしは早瀬の口から真実が聞きたい――。



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