この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第3章 Dear Voice
 
 
「柚……」

 色気たっぷりの艶めいた声で囁かれる。

「ここも、大分俺の形になってきたな……」

 あたしの下腹部を、手のひらで撫でられると、

「ずっと俺だけのものだ」

 子宮がきゅんと疼く。

 あたしの後頭部を手で撫で始めたから、あたしはその手を払い、ベッドの隅っこで息を整える。

 あたしには、恋人のような会話や仕草はなにひとついらない。

 拒むあたしを早瀬が許すはずなく、露わのあたしの背中を隠すようにして布団を被せ、そのまま両手で横臥した彼の胸元に引き寄せる。

 くらくらする、誘淫香。

「離して」

「駄目だ」

「やだってば!」

「……いいから寝ろ」

 今まであたしの身体を愛撫していた早瀬の指先が、あたしの瞼を下ろす。

「大分無理をさせた。身体を休めてくれ」

 あたしを労るような優しい声に、心臓がドキドキしてしまう。

 あたしに優しさを見せるのなら、ねぇ――。
 
「……お金、毎月十万の返済だけではなく、すべて渡す」

――借金返済するまで、お前の身体が利子だ。

 貯金も渡し、半年頑張ってはきたけれど、完済まで気が遠くなりそうで。

「生活出来なくてもいい。風俗で働いてもいい。だから、お願い。あたしを……」

 『あたしを解放して』

 早瀬の反対の手のひらが、あたしの口を塞ぐ。

「……それは契約違反だ。向こうにいるアキやその母親に直接金を返して貰う」

「駄目っ!! 治療に専念させてよ!!」

 病気と闘う亜貴やおばさんを煩わせたくない。

 だから――。

「……今まで通りで、お願いします」

 先の見えない現況に屈する。

「……アキの元には戻らせねぇよ」

 熱い息と共に、怒ったような早瀬の声が鼓膜を震わせた。

「せっかく――のに」

 早瀬の声が聞こえなかった。
 眠気が急に襲って来たから。

 〝せっかくの性奴隷なのに〟と言ったのだろうと思うと、無性に泣きたい心地になりながら、そのまま早瀬の腕の中で意識を落とした。

「――せっかく見つけたんだ。……誰が手放すかよ。あんな思いをして……お前を傷つけ、どれだけ嫌われても俺は……」

 震える声。

「あと少しだから。俺の力でやれることをしたら、お前の前から消える。だから今は……この最低男に、我慢してくれ」

 顔に唇に。
 柔らかなものが触れた気がした――。

/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ