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エリュシオンでささやいて
第7章 Overture Voice

「いやいや、取ろうよ。頑張って作ったんだからさ」
「いえ」
「お金払う」
「いいえ! 柚さんからは取れません!」
「だったらこうしよう」
平行線だと思ったあたしは、隆くんの手を取って言った。
「そのお店の代金、あたしに払わせてくれる?」
「え……」
「で、いつ行く?」
「い、いいんですか!?」
自分から言っておいて、あたしが了承すると驚いた声を出す。
「いいも悪いも、ティラミスを出して貰えるのなら。それにその調査が、パラダイスの食事にも影響あるのなら、是非行かないと」
「はいっ!!」
隆くんは笑った。
……可愛いなあ。
裕貴くんより擦れてなさそう。
「では、金曜日いいですか?」
「金曜日……」
早瀬と約束した日だ。
その前に軽く食事して帰ってこようか。
あたしも告白で緊張しているだろうから、ちょっと和ませて貰おう。
「金曜日、九時にはちょっと戻らないといけないんだけれど」
「わかりました。お食事だけで」
……レストランに行くのに、食事以外になにがあるんだろう?
「OK。六時なら上がれると思う」
「だったら玄関で。お仕事があるでしょうから、時間はお気になさらず」
「ありがとう!」
隆くんのティラミス代を、金曜日の食事に。
なんといいアイデアだろう。
そう思いながら、女帝の元に行き珈琲を淹れながら、アンケート用紙を作ってコピーをして、無事に隆くんのティラミスをゲットしたのだった。

