この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第7章 Overture Voice
  

「はい。パラダイスのティラミスと珈琲です。ティラミスはアンケート回収します。美味しいデザートのため、ご協力下さい!!」

 すると女帝が言い直した。

「これは、上原さんが是非皆さんに食べさせてあげたいと、自腹を切って用意してくれたものです。美味しいティラミスと珈琲を頂きましたら、是非ご協力下さったパラダイスのシェフにひと言を!」

 自腹を切って、という表現に皆がざわめいた。

 そこまで安い給料ではないけれど、どんなに安かろうが、ひとから無料で貰えるということに弱いらしい。

 あたしだって、シークレットムーンでモニターという名の無料話に、すぐ飛びついたんだし。

 女帝と会議室をノックして珈琲とティラミスを持参したら、皆の疲れ切った顔が明るくなったように思えた(特に茂)。

 ただひとり、早瀬が複雑そうな顔をしてはいたけれど、あたしの視線を感じたのか、ぱくり、またぱくりと食べた。どうやらお口に合ったらしい。

 隆くんのティラミスはとても好評で、糖分でエネルギーをチャージが出来たと、部長や課長にお礼を言われた。

「……ごちそうさん」

 口端を吊り上げるように、ワイシャツ姿の早瀬が笑う。

「会議、頑張ってください」

 あたしは早瀬に会釈して、女帝と共に会議室から出た。


 ……ティラミスを食べていると、皆からお礼とアンケート用紙を貰った。

「チ、チーフ。ありがとうございます」

 いつもあたしに冷たい野次を飛ばしていた、育成課の藤田くんや水岡さんも、挙動不審にも思えるように、目を泳がせながらのお礼を言われた。

「今度のリクエスト、なにがいい?」

 いつも思いつきもしなかったことを口にするあたしに、ふたりは顔を見合わせて、色々と美味しい店を教えてくれた。……まあ、あたしの財布だから遠慮なく高そうなスイーツのご指定だったんだろうけれど。

 部下との距離が縮まった気がする。

 気づけば、笑いも増えて。

 これぞ、スイーツマジック!!

 こうやって共通の話題を見つけると、チームワークでやらないといけない仕事もやりやすい。
 
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ