この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第7章 Overture Voice

「笠井、しっかりしろ!」
「いいいいっ、う゛あ゛ああああああ!」
朝霞さんが焦り、真理絵さんが叫び。
それを見ているあたしは、ただ固まっているしか出来なくて。
声をかけることも出来ずに、なにかドキドキするこの場面を馬鹿みたいに見ていることしか出来なくて。
ヴィィィィン……。
この音はなに?
「あ゛あ゛あ゛……う゛ああああ!!」
……それは真理絵さんから聞こえる。
あたしと同時に不可解な音に気づいたのが女帝で、女帝は立ち上がり……ブラウス越しの真理絵さんに触れようとした。
ヴイイイイイイン!
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「笠井に触るな!! 触るんじゃない!!」
その時、早瀬が立ち上がって、テーブルを軽やかに飛び越えると、朝霞さんの両手を後ろで捻り取り、女帝に指示した。
「三芳、服を脱がせろ!!」
「駄目だ、やめろ!!」
早瀬が叫び、女帝は「ごめんね」とブラウスのボタンを外して行く。
ヴィィィィン……。
そこには、透明な細いチューブのようなものに縛られた真理絵さんの裸体があり、不可解な音は彼女の下から鳴っているように思えた。
下半身……?
「あ゛あ゛あ゛……っ」
涎を垂らしながら仰け反る真理絵さん。
これは。
もしかして、これは。
あたしが裕貴くんの目を手で抑えるのと、女帝が叫ぶのとがほぼ同時だった。
「ちょっと!! なんていうものをつけてきたのよ、朝霞さんの趣味!?」
……真理絵さんは、えっちな玩具を胎内に収めているのだ。
ただあのチューブとの関連性がよくわからないけれど。
その時、誰かの着信メロディが鳴り、音が鳴るスマホを手にした朝霞さんは、強張った顔をして、スマホをテーブルに置いた。
150となって、数字が減っていく。
「カウントダウンだ。0になると笠井ごと爆発する」
「ど、どういう意味? 外せばいいの?」
「駄目だ。無理矢理取ろうとすれば爆発する。爆発力が弱くても、この店ごと吹き飛ぶだろう。笠井は……爆薬入りのバイブを仕込まれている。遠隔式のスイッチで」
なんていうこと!!
なんで真理絵さんがそんな目にあってるの!?

