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エリュシオンでささやいて
第7章 Overture Voice

質問しようとした時、どう見ても一般人のみなりをした女性が、乱暴に部屋に入ってくる。
目から放たれるのは、殺気。
ああ、敵は黒服だけじゃないんだ。
そうだよね、木場で店員さんになりすましていたものね……などとどうでもいいことを考えているあたしの前で、女は銃を取り出した。
なんで日本で、こんなにたくさん普通に銃が出てくるのよ!!
銃口が定まるより先に、前に出た早瀬の銃が先に動く。
パシュ!
女は右手首を負傷したらしく、銃が転がり、それを早瀬は遠くに蹴り飛ばした。
それを見ていたらしいパパ役をしていた男が、椅子を両手で持ち上げて早瀬にぶつけようとしたが、早瀬は銃を持っていない左手一本で、素早く床に沈めると、肉弾戦の真っ最中の棗くんの敵の足を銃で撃った。
凄い命中率。
モデルガンじゃないよ、硝煙が立ち上ってるじゃないの!
棗くんは数人、帯のようなものでぐるぐる巻きにして柱に括り付けていた。
やはり客のフリをしていたのが朝霞さんが知る仲間達であり、給仕さんは奥で怯えているようだが、数人棗くんが倒して床に伸びている。
やはり店側にもスパイがいたらしい。
誰が味方で誰が敵かわからない混沌とした状況で、静かな銃の音と耳をつんざくような銃音が交差した只中にいるあたしは、個室での朝霞さんの電話による説得は聞こえていなかった。
「はい、相手はサプレッサー(消音)付の銃を持ち、銃だけではなく格闘技術もかなりの腕前です。はい、負傷者が多く私も……大変な騒ぎになっており、このままでは隠しきれません。はい、これ以上の騒ぎにしないために、仕切り直しを。ひとまず爆弾の解除と撤退のご指示を!」

