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エリュシオンでささやいて
第7章 Overture Voice
 


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「いやあ、私ね正直、柚が『自分が人質になるから』って、あの真理絵って言うひとを助けようとするかとドキドキしてたのよ」

 車内で女帝が言った。

「ああ、それもちょっと考えたんだけれど、恐らくは、あたしが人質になる方を選択した方が、皆だけじゃなく真理絵さんも朝霞さんも犠牲になるように感じたの」

「確かに銃をぶっ放して、柚を堂々と攫いに来る連中だから、用なしとばかりにお払い箱になったかもな。一度爆弾が止まっても、また爆発動き出したりしたかも」

 裕貴くんが腕組をしながら言う。

「うん。それに朝霞さん驚いていたでしょう? 早いって。それが監視役の告げ口があったから予定変更になったとしても、あたしが囚われても朝霞さんは解除コードを知り得なかったんじゃないかと思ったの。朝霞さんがひとり、振り回されてるだけかもと」

 朝霞さんは、真理絵さんと共に使われただけだ。

「棗、どうだったんだ?」

 助手席で早瀬が聞く。

「怪しい奴は縛り付けてナイフ突き立てて脅したけれど、解除コードなんて知らなかったようよ」

 やっぱり。……というか棗くん、働いていたんだね。

「だったら柚は、逃げるという選択肢をとることで、たくさんの命が助かる方を選んだという感じね」

 女帝が満足そうに言った。

「そんな大仰なものではないけれど。なにより時間がなかったし、元々悪い奴が朝霞さんに解除コードを教えるつもりがないのなら、僅かな時間しかないのに、電話の向こうでのらりくらりされたらアウトだし、早瀬の言うように、やむをえない事情で計画を中止させた方が、緊急的に信憑性があるだろうなと、そっちに乗った方がいいと思ったの。朝霞さんがなぜ真理絵さんを引き込んだかわからないけれど」

「朝霞の腕を捻った時、既に朝霞は身体に傷を負っていた」

 早瀬が低い声で言った。

「どういうこと!?」

「食事に誘ったのは朝霞だが、もしかすると朝霞は別の計画をたてていたのかもしれない。笠井を巻き込まない方法を。だけど朝霞は情に流されると思われているのか、力で押さえつけているのかもしれねぇ。爆弾となった笠井は朝霞の脅しでもあったんだろう。上原さえ手に入れば、あとはふたり共、あの場で始末されたかもしれねぇな」
 
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