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エリュシオンでささやいて
第7章 Overture Voice
「レインボーブリッジは初めて?」
「うん! へぇ、本当に道路だったんだ」
「当然だろうが。なんだと思ってたんだよ?」
「ライトアップされた遠景しか見たことがなかったから、いうなれば……クリスマスツリーにぐるりと撒かれたライト、みたいな」
「なんだよ、それ」
早瀬は声をたてて笑う。
お台場との看板を見ながら赴いたのは、24時間営業しているスーパーだった。
「うちの冷蔵庫には、ほとんどなにも入ってねぇから」
「……自炊してなさそうだものね」
早瀬が台所に立って、トントンと包丁を使っているなんて想像出来ない。
やはり王様は食べさせて貰う側のように思える。
「そんな時間あれば仕事してるか寝てる」
ごもっとも。
売れっ子の仕事量は半端ないだろう。
やる気のないエリュシオンを黒字にしているのは、早瀬のおかげだ。
「なに食べたいの?」
「ん……。早く食べれて、精がつくもの」
「な、精がつくって……一体何回する気なのよ!?」
いつも二回じゃ終わらないというのに!
「は? 俺、今日まで徹夜明けだって言っただろう?」
「へ?」
「……まあそっちでもいいや。期待されているようだし?」
流し目が寄越される。
「き、期待なんて……っ」
恥ずかしい!
この手の勘違いは、本当に恥ずかしい。
穴があったら潜りたい。
モグモグ、地下の中に潜って体育座りをしていたい!
……色々と無理!