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エリュシオンでささやいて
第7章 Overture Voice
いかにもお金をかけていますよ、という成金が好むような大理石調の内観は、実は実家もそうだったりする。
そのため内観に驚くことはないが、ここのフロアは外の景色を重んじる硝子張りになっており、そこには通ってきたばかりのレインボーブリッジを始めとした夜景がパノラマ状に広がっている。
さらにここのフロアには、イタリア料理店があり(ここで食べればよかったのに)、さらにこのフロアにも待合所みたいな応接セットがたくさん並んでいる。ここにいるだけで、台場の夜景が楽しめそうだ。
なんて贅沢なマンションなんだろう。
早瀬が戻って来て、行こうと促される。
「ねぇ、ここホテル?」
「いや、ホテルと提携したマンションだ。個人の部屋の掃除もマンションの清掃員がしてくれる。まあ希望者だけれどな」
「え、プライバシーの侵害とかは……」
「仕事が忙しい時は断っている。合間合間に来て貰っている感じだな」
「忙しいひとにはいいかもね、このホテル風のマンションは」
「ああ。決め手はそれだけだ」
笑いながら早瀬は、カードのようなものを取り出して自動ドアのようなところの前で、そのカードをSuicaのように備え付けの機械にタッチして読み取らせると、ドアの情報にある赤いランプが緑のランプへと変わり、ドアが開く。
ピッカピッカの白いマーブル模様の床を歩くと、エレベーターが二台出てきた。エレベーターの壁についてある機械にまたカードを読み取らせると、エレベーターの扉が開く。
さらに中の回数を押すところにも、読み取り口があるらしく、そこにカードをタッチすると、自動的に回数のボタンに光がついて動き始めた。
26階だった。