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エリュシオンでささやいて
第3章 Dear Voice
 

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 朝七時半過ぎに、木場にあるOSHIZUKIビル到着。
 たくさんの社員と共に、ビルの入り口を入ると、警備員さんが仁王立ち。

「おはようございます、警備員さん」

 すると、恐らくは第二の人生なのだろう……どことなく品がいい初老の警備員さんは、声をかけたあたしににこりと笑ってくれた。

「おはようございます。今日も素敵な一日でありますように!」

「警備員さんも素敵な一日でありますように」

 ……会釈して毎日ビルの中に入るが、素敵な一日を送れたためしがない。それでも毎日の挨拶をせずに会社に入ると、いつも以上に酷い一日を送る羽目になりそうで、毎朝挨拶は欠かしたことがない。



 エリュシオンでの朝の日課は、各フロアのところどころで飾られてある観葉植物に、自席の机の引き出しにしまってある、折りたたみ式の白いmyじょうろで水をやることだ。

 鬱屈した社内、植物に癒やされているあたしとしては、どうしても毎朝、土の湿り度チェックをして、植物に最適な中で一日を生きて欲しい。

 暗いと言われようが、二年もこうして観葉植物に水をやって、ひとりで残業して寂しい時に声をかけているあたしにとっては、人間より観葉植物の方がよほどあたしの理解者で、今では声をかけただけでとても喜んで活き活きしてくれている……ように感じるんだ。

「あ、オーちゃん、土が乾いてきたね。はい、待ちに待ったお水ですよ~」

 特にお気に入りは、150~180㎝くらいあり、課の横の応接間の両側でパーティーション代わりをしてくれているオーガスタ。南国のバナナの葉のような形をして、生きた加湿器のように、傍にいるだけで潤ってくる。

 オーガスタの学名は、 Strelitzia nicolai(ストレリチア ニコライ)。ロシア皇帝ニコライ一世の名前からつけられたといわれている、優雅でセレブな観葉植物だ。

 時に白い花を咲かせるが、最初は葉が腐ったかカビが生えて白くなったのだと思い慌てたが、羽をたてた鳥のように、白く細長い花を咲かせることから、別名White Bird-of-Paradise(天国の白い鳥)とも呼ばれているそうで、エリュシオンに縁がある植物の気がしてたまらない。
 
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