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エリュシオンでささやいて
第8章 Staying Voice
「柚……は……お前、やばすぎ……っ」
端正な顔に絡む、汗に濡れた乱髪。
切れ長の目は苦悶に細められ、半開きの唇から甘い息が漏れる。
正常位で繋がる彼は、男らしい喉元をせり出すようにして、なにかに耐えるように天井を仰ぐ。
その色香は凄絶に満ちていて、見ているだけでぞくぞくと欲情してしまう。
筋肉が隆起した双肩。
男らしい、がっしりとした精悍な身体。
汗ばんで紅潮した首からは汗が滴り、太い鎖骨がセクシーで。
早瀬須王というものを象るすべてのものに、フェロモンが漂って。
……この身体にもっと包まれたくて、身体が熱く切なく、きゅぅっと疼く。
「柚、俺だけイカせるな。柚……っ」
その上に欲情した時になるハスキーな声音を聞かせられれば、須王しか経験のない素人のあたしは、それだけでたまらなくなる。
彼を、あたしのすべてでぎゅっと抱きしめれば、須王が悲鳴を上げるようにしてあたしに抱きついてきて、あたしの身体の中で果てた。
薄い膜一枚に隔たれ、熱い彼を直に感じられないのがもの悲しくも思う。
須王は、後始末をするとやるせなさそうな息をして、あたしの唇を奪い、念入りに舌を絡ませると、静かに息を整えたようだ。
「お前相手だと、自制は利かねぇわ、やけに絶倫だわ、早漏だわ。はぁぁぁ、格好悪ぃ」
彼はごろりと仰向けになってベッドに倒れると、あたしの頭を腕に乗せて、そのまま彼の身体に引き寄せ、布団をかけた。
「少し寝ようか。……へばられたら、明日……といっても、もう今日か。なにも出来なくなるから」
「え、まだするの?」
「勿論。九年分を取り戻さねぇと」
「ゆっくりいけば……」
「駄目。抱けば抱くほど、またお前に惚れちゃってるの。これでも我慢してるんだぞ?」
さらりとそう言って、あたしを赤面させる須王。
濡れたダークブルーの瞳が優しくあたしを見つめていた。
「……あ」
「なに?」
「肝心なこと忘れてた。やべ……先にこれもちゃんとすべきだったのに。ちょっと待っててくれる? すぐ戻るから」
「うん?」
須王はベッドの上で上体を起こすと、そのまま隣の部屋に行った。