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エリュシオンでささやいて
第8章 Staying Voice

「おはようを一番にいいたかったのに……。くそっ」
「はは……。おはよう」
「だから、俺が先に言いたかったんだよ。……おはよう」
あたしの顎を摘ままれた手が彼の方にねじ向けられ、ねっとりとしたキスをされる。
気恥ずかしくなったあたしが、赤い顔をそらすと、額にデコピンをされた。
「照れるなよ。昨日はもっと凄いことをしてたんだぞ?」
「な、なな……っ」
「今日もしような?」
誘惑めいた眼差しと声に、興奮とも警戒ともつかないゾクゾク感に悲鳴を上げると、須王は笑いながら、ぎゅうぎゅうにあたしを抱きしめた。
「なんでこんなもん巻き付けてるの?」
「マッパは恥ずかしいし……」
「別にすぐ脱ぐんだからいいじゃね?」
「な、ななっ!! あ、あなただってズボン穿いてるし!」
「ああ、そんなに脱いで貰いてぇんだ? いいぞ、お望みなら……」
「ぬ、脱がなくていいから!!」
「……真っ赤。慌てて可愛いの」
ちゅっとほっぺに唇が押し当てられた。
「……っ!!」
「ん?」
とろりとした、甘いその目に吸い込まれそうで。
な、なんなのこのひと。
なんでこんなに、甘々なの?
あたし、かわせるスキルは持ち合わせていないんだってば。
あたし、抵抗力のないただの……普通の女なんだってば。
須王の甘さと熱に、翻弄されてしまう――。

