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エリュシオンでささやいて
第8章 Staying Voice
 

「ちょ、ちょっと待って。なんで碧姉がその組織にいるの? 特別に優しくはないけれど、そこまで残虐ではないわ」

「……俺が聞いたのは、組織の命令をする方ではなく、飼われている女達の方だ。俺達のような傭兵としてではなく、その……性処理班だ」

「真理絵さんのような、おかしなことをされるということ?」

「ああ」

 あたしは目を細めた。

「でも碧姉は、世界的にも有名なバイオリニストで、コンサートで世界を飛び回ってる。忙しい身の上でそんな……」

「お前は同行していたわけじゃねぇだろ? コンサートだって、顔見せするのは数日でいい。現にあの真理絵という女も、日中オリンピアで働いていた」

「……だからって」

「そう、だからさ。今エリュシオンがどう変わって動いているかわからねぇ。俺に出来ることは、まずお前の周りをすべて疑うことだ。だけど言えねぇだろ、お前の姉貴が組織にいただなんて」

 須王の声は悲痛さに滲んでいた。

「今正直、隠すべきか悩んだよ。だけど俺はもう、お前の前では嘘を言いたくねぇんだ。隠そうとして、お前の信用を失いたくねぇ。もう、嫌っていうほど懲りたから」

「……っ」

「やっぱり信じられねぇ?」

 迷い子のような頼りなげな瞳。

「やっぱりお前は、お前の家族を疑った俺を敵だと思うか?」

 ……これか。
 須王が、敵になるかもしれないと思った理由は。

「隠していて悪かった。だけどまだ今も関わっていると確証がねぇのに、言うのは……」

 あたしは目を瞑り、深呼吸。

 あたしが出来ること――。

「教えてくれてくれてありがとう」

 あたしは頭を下げる。

 ちゃんと、事実を見極めることだけだ。
 
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