この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第3章 Dear Voice
――その噂を裏付けるように、忍月コーポレーションにも凄いイケメンがいるんですよ、ほらあそこ。社長になるかも知れないと言われている宮坂専務。
千絵ちゃんが指さすのは、パーマなのかくせ毛なのか黒髪の男性。顔はよく見えなかったが、その背広姿だけでも肩幅があり体格がよく、イケメンのように見える。
さすがは一流大企業の専務であれば、そのステータスにも群がる美女が多いのか、取り巻く美女の数は多く、まるでハーレムのような独特の世界を築いている。
あれだけ美女が集まるのなら、相当のイケメンなんだろう。
――帝都出版の副編集長も凄いイケメンなの、知ってます?
知らない。興味もなければ、そういうことを話す友達もいなかったから。
――上原さんのところにも、いるでしょう? 超有名なイケメンが。
早瀬のことらしい。
早瀬の……ごくごく普通の学校での学生時代を知るあたしとしては、イケメンであっても財閥とは関係ない、ただの王様音楽家としか思えなくて。
では千絵ちゃんが通う会社はどうかと、今までの千絵ちゃんから仕入れた情報をまとめてみれば。
――ああ、千絵ちゃんのところにもイケメン居ると言ってたね。確か営業の……。
――ああ、実は結城さん以外にまた来るんです、イケメンが。どちらに転んでも、このビルの全会社に、イケメンがいるんですから、噂も本当っぽく思えません? 上原さんも、準備していた方がいいですよ? いつ、どんな王子様が迎えに来るかわかりませんから。
このビルに居れば、玉の輿は四倍の可能性があるのだと、彼女は笑っていた。