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エリュシオンでささやいて
第3章 Dear Voice
「ええと……忍月コーポレーションの――宮田常務!!」
「「「宮坂、専務!!」」」
一斉に声を揃えて答えたのは、取り巻きの美女達。
凄いね、ロボットみたいに皆同じ動きが出来るんだね。
「す、すみません……っ」
「いや、いいさ。同じ会社なら、締め上げて減俸にした上で降格させるが、他会社だからな」
このひと、怖い……。
そう思って顔を引き攣らせて返答に困っていたら、冗談だと専務は笑う。
緩和した空気に安心して、あたしもつられて笑ってしまった。
宮坂専務は大会社で専務をしているからなのか、とても貫禄があり、こう間近で見ると、男のフェロモンも出しているし、かなりイケメンの部類に思える。
……が、早瀬を見慣れているせいなのか、宮坂専務は超絶イケメンで最高!!とまでは思えなかった。……取り巻きさん達には悪いけれど。
綺麗さで言えば、早瀬の顔の方がダントツ。
だから取り巻き達も、ちらちらと早瀬を見ているのだと思う。
宮坂専務が、意味ありげに上から早瀬を見下ろして言う。
「……なんだその顔は。目立つことをして、ここにいるとアピールしていたのは、そっちだろう。目立つことは好きじゃなかったんじゃないのか?」
早瀬は専務に顔を向けないまま、言った。
「……失せろ」
あたしは、険悪で剣呑すぎるその返事に縮み上がる。