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エリュシオンでささやいて
第9章 Loving Voice
 

「お前、俺をそこにいれるか!?」

「ええ、須王とは一蓮托生。私もいつか、須王のために頭を下げるから。だから皆さん、ふつつか者ですが須王をよろしく」

「だからお前だろ!?」

「ふふふ」

 ふと、棗くんと目が合った。

 棗くんはじっとあたしを見て、目をそらした。
 それを須王がじっと見ていて、棗くんは急に笑い顔になった。

「ほらほら須王。上原サンが妬いちゃってるわよ?」

 あ、あたし!?

「妬いたのか?」

 ダークブルーの瞳がこちらに向く。

「い、いや、全然」

 すると須王の口が不満そうに曲がり、

「だって、友達でしょう?」

「俺は三芳にでも妬く」

 じとりという目がこちらに向く。

「な、な!」

「まあ大胆になったわね、須王。だけど知ってる? 言えばいいっていうもんじゃないのよ。ほら、上原サン引いている」

「は!? なんでお前が、後退(あとずさ)るんだよ!」

「い、いや……なんとなく?」

「お前、ちょっと来い!」

「へ、へ!?」

 なんで怒りの矛先があたしに向いたの!?

 助けを求めれば、にこにこと微笑む棗くんと裕貴くんと女帝の姿。
 
「「「いってらっしゃぁい!!」」」

 なにか悪意のような快い応援を受けながら、仮眠室に連れられたのだった。



 そして――。

「んぅぅっ」

 ベッドに腰掛けた須王の膝の上に向き合うように、跨いで座らせられたあたしは、抱きしめられながら激しいキスを受けた。
 
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