この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第9章 Loving Voice
 

「だけど俺が、よりによってこの俺が。あんなになるまで棗を苦しめさせていると思えば……」

「でも、あたしは須王しか愛さないよ。棗くんが可哀想だからと、棗くんを男として好きになりたいと思わない。それは憐憫、棗くんが欲しいものなのかな。棗くんの尊厳を傷つけるものだとは思わない?」

「……っ」

 あたしは身体を離し、彼の前髪を掻き上げながら、ダークブルーの瞳を覗き込んで言った。

「もし仮に、百歩譲って棗くんがあたしを恋愛感情を持っていたとしても、結果は同じ。あたしは須王以外に奪われない」

 断言したあたしの唇は、彼に奪われた。
 動物的に唇に舌をねじ込ませて暴れさせる彼から、狂おしいほどの愛情を感じて、あたしは涙した。

 あたしはこの愛情を愛したい。
 
 唇が離れて、淫らな銀の糸がぷつりと切れた。

「俺で、いいの?」

「嫌だと言って許してくれるの?」

「許さねぇよ、そんなの!」

 あたしはけらけら笑った。

「あたしは、九年もあたしを傷つけて、嫌がるあたしを性処理だと無理矢理抱いてきた憎い男が好きなの。嫉妬深くて独占欲が強くて、皆の前でもキスしてくる野獣みたいな男がとっても好きなの。こんな面倒臭い男を好きになるなんて、すごく物好きだと思うわ、自分でも」

「……結構、ぐさりとくるな」

 須王は苦笑する。

「でもあなたの言葉を信じてしまったの。あなたの愛を感じてしまったの。あなたの音楽から心を受け取ったの。……あなたはあたしの傷を償って貰うためにあたしから離れられない。そしてあたしも借金のためにあなたから離れられない。だから不可抗力的に離れられないわ」

 切なげなダークブルーの瞳が揺れている。

「しっかりしよう、須王。あなたがぶれると棗くんもぶれる。言ったでしょう、あたし。棗くんにそっぽ向かれたらプライベート用のスマホに渉さんしか機能しなくなるって」

「それは嫌だ」

 即答だった。
 どれだけ渉さん、嫌われているのか。
 
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ