この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第9章 Loving Voice
 

「さすがに課長は、パソコンを貸した代償がどれだけのものかおわかりになって、かなり痩せられたようですがね」

「うっ」

 そうか。
 茂がげっそりしたのは、罪の呵責からなのか。
 もしかして、自分のが情報を漏らしたことになるかもしれないと。

 茂、小心者だものね。
 うんうん、それでわかりやすかったよ、茂はなにか関係してるって。

 これはすべて棗くんの情報と、須王の組み立てた推理によるものだ。
 そこにあたし達は口を挟む余地もなく、言われた通りの展開が目の前に繰り広げられている。

 即ち、大したことを入れていなかったあたしのパソコンは、須王が連れ回してくれたおかげで、なにか入っているかもしれないと勘違いされて、二組のスパイから狙われていたらしい。

 ただ、水岡さんはオリンピアに繋がっていても、牧田チーフがどこに繋がっているのかはわからないけれど。

 とんだ勘違いではあるが、スパイが潜んでいたのは確かなこと。
 そして現実問題、情報は漏洩されてしまったのだ。

 須王は美人さんだから、どう見ても怒りに満ちた目で笑われると妙に怖くて、嵐の前の静けさのようにぶるぶると震えてしまう。

「言いてぇことは?」

 言えないよね。

 実はあたしが議長をしたのは、反省の言葉を促したかったからなのだけれど、この王様を目の前に、萎縮してなにも言えなくなっちゃうよね。

 ほら、なにも言わないと王様キレちゃうよ?
 この王様、音楽を冒涜するのは許さないひとだから。
 あんなに盛っていたのに、なんでそこんところはストイックなんだろうね。

「お前ら、自分のしたことの重大さをわかっているのか!?」

 彼が企画して彼が作ろうとした神聖なる音楽を、不当な方法で朝霞さんに奪われた。

 会社に二組もスパイがいて、それが自社の情報を流すなんて本来あってはいけないことなんだ。

 三人にはもしかすると、そうしなければならなかった事情があったのかもしれないが、よりによってあたしがいる育成課全員の悪行に、須王の怒りは静まることなく。

 きっと銃でも持たせたら乱射でもしそう。
 それとも棗くんのように、噛みつくか。

「なんとか言え!」

 聞いているあたしも、酷く居たたまれない心地になって縮こまって聞いていた。


/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ