この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第3章 Dear Voice
 
 
「あの……打ち合わせの時とかであったら困るので、LINEのID教えて頂けますか?」

 あたしを見ないでよ!
 別にあたし早瀬と連絡取り合いたいとか、羨ましいなんて、これっぽちも思ってないし!

「ああ、気遣って貰ってすまないな。だったらエリュシオンのhayaseのメルアドに送っておいてくれ。LINEIDは非公開だ」

 女帝の思惑をあえて外したのか無意識なのか、早瀬は軽くそう言うと、あたしの腕を掴んで(恐らく、距離を開けて後ろを歩かせないように)、女帝に背を向け歩き出した。

「……LINEと言えば上原。お前、いい加減申請許可しろよ」

 ああ、見ずともわかる――。
 早瀬のことなら、どんな小声の呟きも聞き漏らさない聡い耳をしている女帝が今、極悪般若の面を被ったね。

 〝お前、早瀬様からのIDをなに却下してやがるんだ!!〟

 そんな怒りのオーラに背中が焦されそうになり、慌ててエリュシオンから出て、早瀬にきっぱりと言う。

「御用があるのなら、エリュシオンのueharaにメール下さい」

「お前メールなら、ひと言じゃねぇか。……しかも、すぐじゃねぇし、一度きりだし」

「だってどうでもいい……失礼。〝今夜は月が綺麗だ〟と突然言われたって、はぁとしか返答のしようがないでしょうが。LINEだって結果は同じですよ!」

 LINEになにを期待しているのかわからないが、LINEをしたいなら女帝と思う存分どうぞと言うと、早瀬はむくれた。

「ホントお前、男心をわかってねぇよな。男心というより俺というか……」

 エスカレーターで下りながら、早瀬は前髪を掻き上げて言う。

「……俺、女とみたら見境なく声をかけて、即答を求める男じゃねぇんだわ。誰が〝今夜は月が綺麗だ〟なんて、わざわざ手間をかけるかよ。特に、どうでもいい女は勘違いさせたくねぇんだけど?」

 おや、早瀬に分別があったんだ?
 あたしてっきり、据え膳かと思ってたのに。

「ではどうでもよくない女とLINEしたい時に、即答求めて下さい。恐らくあなたがひと言書くだけで、たくさんのハートマークつきで長く書いてくれますから。ひとりの寂しさも埋めてくれますよ」

 本当に、寂しいっ子は面倒だ。
 
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ