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エリュシオンでささやいて
第9章 Loving Voice
「じゃあまたな、須王。モグ、今日も土掘り頑張れよ」
「はい、ではまた! ほら須王も」
「またなんてねぇよ!! 早くとっとと消えろ!!」
「あははははは」
そしてあたしと須王がぽつんと残された。
専務がいなくなると、しーんと静まりかえっている。
六階は本当に人通りがない上に、ここは奥まっている場所だから余計に、この静けさが嵐の前触れのような予感がして――。
「――柚」
ダークブルーの瞳を冷ややかにさせながら、かなり低めた声を出す須王。
「なんでも俺の願いを聞くといったよな?」
ごくりとあたしは唾を飲み込んで、頷いた。
ああ、嵐をもたらしたのは、この王様か。
「だったら、あれだけ愛して身体に刻んでも、俺のものじゃねぇと二度も公言して、あんな男に簡単に絆される不埒な奴に、たっぷりとここでお仕置きしてやらねぇとな」
「え……」
ここで?
「お前が誰のものか、お前が覚えるまで刻み込まねぇと。物覚えが悪い奴には、たっぷりとな」
「ひ……」
肉食獣のようなぎらついた須王の目が向けられた。