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エリュシオンでささやいて
第9章 Loving Voice
 

 須王は、狼狽するあたしの身体を軽々と持ち上げ、彼の膝の上に後ろ向きに強制的に跨がらせた。
 今日はタイトスカートだったから、須王のズボンの上で捲り上がり、パンスト越しのショーツが見えてしまう。

「なっ! ちょっと!!」

 あまりにも恥ずかしい格好に慌ててスカートを両手が下げようとするが、その間に須王の手が器用にブラウスのボタンを外していく。

「須王、誰かくるって」

「なに? 渉に見られたくねぇって?」

「なに……んぅ」

 顎を摘ままれて、唇に噛みつくようなキスをされると同時に、ねっとりとした舌が唇にねじ込まれ、言葉を運んで奪われる。

 同時に須王は、第三ボタンまで開いたブラウスの中に手を忍び込ませ、キャミの上からブラごと、ゆっくりと胸を揉みしだいていく。

 誰が見ているかわからない。
 なにより須王は有名人だから、どんな致命傷になるかわからない。

 そう思ってその手を上から押さえれば、反対の手がさらにスカートを捲り上げて、パンスト越し太股を撫で上げる。

「ちょ……」

 暴れようとすれば須王ま唇が、あたしの耳をくちゃくちゃと音をたてて甘噛みしてくるものだから、ぞくぞくしたあたしの身体から力が抜けてしまう。

「なんであいつの手先になったんだよ」

 低く詰る声もハスキーで、睦言を囁かれているかのように錯覚してしまう。

「違……っ、そんなことはしてない」

「いつから? だから渉のことを訊きたがったのか?」

「だから違うっ、たまたま会ったから……っ、聞いていたでしょう!?」

「ああ、聞いていたさ。お前は俺の女じゃねぇって、俺が聞いているのわかってて、宣言したものな」

 話がすり替わる。
 あたしの中では別の理由があるのに、ひとつの理由にされてしまう。
 
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