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エリュシオンでささやいて
第9章 Loving Voice
「俺が嫌なのか? 最初から?」
くちゅり。
「やっぱり過去が気持ち悪い?」
くちゅり。
「やっぱり普通の、表世界で育った奴がいい?」
くちゅり。
「俺、この先もお前を、俺の女だと言えねぇの?」
泣き出しそうな声が聞こえて、あたしは彼の胸にゴンと頭突きをした。
「お黙り!」
……ああ、なんて可愛くない女なんだろう。
半裸状態で、濡れた秘部も露出させられた状態で。
いや、そんな状況だからこそ……捨て身になるしかない。
「電話の声を聞いていたのならわかるでしょうが! 専務が切羽詰まった声を出して、須王と話をしたいから間を取り持ってくれと言ってたじゃない! 須王がどうでもいいなら、ふたりにさせたわよ。もしも須王と専務の会話がないことが理由で須王が苦しんでいたのなら、それだけでも解消出来るかなと思ったのよ!」
「……俺のため?」
「当たり前でしょう!? もし専務が横柄なことを言ってきたら、平手打ちでもして怒る気で話を聞いてたのよ!」
「でも仲良く話してたじゃねぇか。俺放置で」
「あなたが乗ってこなかったからよ。専務と会話しようとしていなかったから、少しでも入ってこれるようにしていたんじゃない」
……途中から専務の話が面白くて惹き込まれたとは、口が裂けても言えない。
「あたしが好きなのは須王だけなの! あたしが他に奪われる心配なんて無駄にしなくていいから。あたしは須王だけ! だからもう恥ずかしいからやめてよ」
止まらない。
須王はあたしの勢いに呆気にとられた顔をしているが、秘部から指は抜かれず、なんだか逆にいやらしい動きをしてくる。まるで踏み絵のように、あたしの揺るぎない気持ちを試しているようだ。