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エリュシオンでささやいて
第9章 Loving Voice
「……俺を、お前の恋人にして?」
そんなこと言われると、あたしの決壊が崩れちゃう。
「誰が聞いても、俺のものだとお前が答えて?」
目の裏にチカチカと閃光が飛んでくる。
「――俺から離れて、どこへも行くんじゃねぇ」
ああ――。
彼の言葉にやられた。
やられてしまったから――。
「行かない。あたしは須王のもの……いっ、あああ、駄目、こんなところでイッちゃう!」
涙目で訴えるあたし。全身になにかがざわざわと駆け上ってくる。
そんなあたしにお構いなしに、須王は言うんだ。
「……それと、ありがとう。まだ完全にはあいつを許せねぇけど、お前の気持ち、嬉しかった」
だから駄目だって。
我儘で強引な王様が素直になってしまったら。
ただの超絶イケメンになってそうやって微笑まれたら、ただの女にしか過ぎないあたしは――。
ああ、クる!!
「俺の指じゃなく、俺を身近に感じてイって。それだけで、俺はいい」
ああ――。
こんなに切羽詰まった声をしているのに、こんないやらしいことをしでかした張本人はストイックを気取って。
それに比べて、あたしは……彼の優しい声を合図に快感の奔流に流されて、一気に弾け飛んでしまった。……こんな、公共の場で、仕掛けられたあたしひとりが。
「須王、須王、イく、イク、ぁぁ……」
あたしの叫びは須王の口の中に消えた。
……彼は果てなかった。ただしばらくぎゅっとあたしに抱きついてきて、
「お前は俺の最初で最後の彼女だけど、永遠じゃねぇ。……いつかお前を縛って、違う呼び方をさせてやるから」
そう甘く囁いた。