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エリュシオンでささやいて
第9章 Loving Voice
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してしまった、イッてしまった。
六階は終始誰も来ずにひっそりしていたとはいえ、もう本当に恥ずかしくてたまらず、顔があげられないまま下着だけは素早く装着。
もしかして誰か覗いていて、あまりの痴女の露出と感じぶりに完全に臆して逃げてしまったんじゃないか。
そう思ったら、引き籠もるための穴を掘りたくて仕方が無かった。
トイレから戻った須王は(爽やかな美貌を増した理由は考えたくない)、笑いながらあたしを小突いて言う。
「傭兵あがりの俺が、人影を見逃すわけねぇだろ? 大体俺、お前の可愛い姿を他にも見せる気はねぇから。減る」
別に減りはしないけれど。
ただまあ須王は特殊な育ち。その彼が人影はなかったと言うのならなかったのだと、そう考えなければ延々と負の迷宮に彷徨うからと納得することにした。
「なぁ、柚。恥ずかしがるお前、すげぇ可愛くて俺、嵌まったかも」
「は!? 嵌まらないでね、もう忘れてね!?」
須王は笑ってあたしの肩を引き寄せると、しっとりとしたキスをして言った。
「俺の彼女は、恥ずかしがり屋で滅茶苦茶可愛い」
「……っ」
もう、なんなの、この甘々な王様は。
顔から火が出るじゃないか。
「はは、真っ赤」
「誰のせいだと……」
「他の男に見せるなよ。お前は俺の女なんだから」
「……うん」
嬉しくなって須王に、自分から抱きついてしまえば、顎を掬い上げられて、唇が重なり、音をたてて舌を絡め合う。
唇が離れる瞬間も須王はあたしを見ているから、照れが入って恥ずかしくて、俯きながら須王がしめたネクタイをきゅっきゅと引っ張って自己主張。
すると彼はネクタイを片手で解いてあたしに持たせると、身を屈めた。
「お前がつけて」
「え?」
「なんかお前にして貰いてぇ気分。出来る?」
「ん」